今回は少し視点を変えて、介護の仕事で派遣社員として働くときのお給料ついて考えていきたいと思います。

わたしは、介護業界の派遣会社で働いていました。いわゆる現場の介護事務ではなく、本社の経理・給料計算の事務方としてです。老人ホームや病院で ”派遣社員” というかたちで、働いてらっしゃる方のお給料の計算をして、銀行の口座に振込手続きをしていました。


そのため、実際に現場で働かれている側の見方というよりは、給与支給側の見方になってしまうのため、感覚や認識に誤りがあったら申し訳ございません。ただ、仕組みや裏側については理解していますので、そういう観点で、職場選びの材料として、またご自身のライフプランの設計などに役立てていただければ幸いです。


<看護・介護職としての働き方の特徴>

介護職として働く場合、職場は老人ホームや病院が多いと思います。ですが、その働き方は派遣される職場によって異なります。老人ホームの中でも色々ありますし、病院の中でも色々あります。また、在宅サービスというのを行っている事業もあり、本当に様々です。日勤も夜勤もシフト制も1カ月単位の契約もあります。1日5時間しか働かない日勤や12時間勤務の夜勤もあります。

働き方が職場によって異なる点は、介護職であろうと看護職であろうと事務職であろうと同じかと思います。なぜなら、一般の会社と同じように、勤務時間も休憩時間も休日も派遣元の会社が決めていることではなく、派遣先の職場で決められていることだからです。

もっといえば、派遣先の職場のルールに則るかたちになります。とはいえ、現場がすべてルールによって決定されるとするとそれはそれで窮屈で、ホームや病院の現場の責任者がその都度判断するというところもあるかと思います。家族で営んでいるような小規模のホームや病院は、現場判断の傾向が強いかと思います。



<”派遣社員”の給料の仕組み>

”派遣社員”の給料は派遣元の会社で支払われるため、派遣元が負担しているのではないか。そう思われている方も少なくないと思います。ですが、実は、給料も派遣元ではなく、派遣先の規定に則って決められています。極端な話ですが、同じような看護・介護の仕事で、A病院では時給1,000円なのに、B病院では時給1,500円ということもザラにあります。もちろん、一概に給料が高いからいい、低いからダメとはいえず、人間関係や働きやすさの面でいうと働いてみないとわからないというのが実態です

また、看護・介護の仕事で時給が2,000円を超えるような高待遇の場合、夜勤の仕事であることもあります。1日の労働時間が8時間を超えたら、残業となり1.25倍加算されます。夜10時から朝5時までの間は深夜残業となり、残業分の割増分とは別に1.25倍加算されます。夜勤が高い時給なのは、その職場の仕事の時給がいいのではなく、単に法律で定められているため上げなくてはいけないのです。その点を考慮すると現実的な目で時給を評価できて良いかと思います。

一方で休日割増の扱いは”派遣社員”の場合、とても難しいです。”正社員”の場合、一般の会社の就業規則の休日規定に則って休日割増が設けられていますが、派遣元会社の場合、休日規定を定め休日割増を設けるほど良心的な会社はそうそうありません。となると、”派遣社員”の休日は法律に準じることになります。法律では、休日は月に4回設定すればよいことになっています。わたしたちが考える、土曜日、日曜日は休日という考えとは少し違っています。それに準じると、月に26日か27日以上働いた場合にしか休日は発生しないことになります。考えてみてください。月に26日か27日も働く方がブラックだという話になってきます。・・・と、派遣元会社に丸め込まれるオチになってしまいます。


看護・介護の仕事でもある程度の時給をもらいたいという方は、派遣会社から流れてくる求人情報をよく比べて検討して、賢く職場を選びたいものです。



<”派遣社員”の給料について>

”派遣社員”の給与体系は基本的にはどこにおいてもシンプルです。「時給 × 時間 = 日給」、「日給 × 日数 = 月給」として、出勤時間や日数により計算されています。

残念ながら、賞与というのはまずありません。退職金もありせん。扶養手当や住宅手当などの手当もまずないと思っていたほうがいいでしょう。”契約社員”や”正社員”などの直接雇用で働いている人との給料の差はそのあたりでついてきてしまいます。ですので、たとえ時給が高い求人を見つけたと思っても、1回と立ち止まって冷静に計算してみてもよいかもしれません。これはどの求人に対してもいえることですが、月収ベースもそうですが、年収ベースに換算して比較すると、現実的な数字が見えてくるのでおすすめです。



”派遣社員”の社会保険について>

社会保険(雇用保険、厚生年金、健康保健)については、派遣元で判断の作業を行っています。派遣元の会社に健康保険組合がある場合は、健康保険は国保ではなくその健保への加入となります。それぞれ、法律により加入するために必要な一定の条件があり、週当たりの労働時間や給与総額などから判断されます。その条件を満たす場合は本人の意思に関わらず、加入になります。


”派遣社員”の住民税について>

住民税の納付方法には2通りあります。1つは自分で納付をする普通徴収。もうひとつは会社が徴収と納付を代行して行う特別徴収です。納付額等はどちらも同じで、納付を自分がするか、会社がするかの違いだけです。ただ、普通徴収は数カ月分をまとめて納付することになるので、感覚的に多く感じてしまうかもしれません。

自営業や無職、個人事業主の場合は普通徴収です。1月1日現在に住所がある市区町村から年に数回納付書が送付されてくるかと思います。それをもって銀行やコンビニに納付に行って納めます。一方、会社員の場合は大抵の場合、特別徴収です。毎月の給料から天引きをして納めています。

”派遣社員”の場合、普通徴収か特別徴収どちらになるかということですが、市区町村の方針としては会社に特別徴収を義務づけています。わたしの想像ですが、国全体の事務の効率化ができ、かつ徴収がより確実になるからだと思います。

ただ、実態はケースバイケースです。派遣元会社の運用によります。わたしが所属していた会社では、対象となる方の人数が多く、当時会社での特別徴収はしていませんでした。特別徴収にしてほしいという問合せも多数ありましたが、事務を担当する立場からいわせていただければ、物理的な処理がとても間に合わないのです。

ですので、派遣元会社が特別徴収を実施していれば住民税のことは何も気にしなくていいです。ですが、実施していなければ、自営業者と同様ご自身で納付することになります



”派遣社員”の交通費について>

交通費も派遣されるホームや病院が負担するのが一般的です。したがって、交通費支給の有無、特急の利用や、タクシーの利用、上限額も派遣先で決められています。交通費支給のないところも、少なくありませんので、気になる方は事前に確認された方がよいかと思います



”派遣社員”の有給休暇について>

有給休暇の付与日数などは派遣元会社の就業規則に則って付与されます。ただ、ルールは基本的に法律に準じてますので、条件を満たしているのに付与されないということはありません。付与日数は給与明細で通知されるのが一般的とは思います。親切な営業担当者であれば、有給休暇が発生したことを教えてくれたりしますが、何のアナウンスもない営業担当者もいるかもしれません。アナウンスがなくても入社して6カ月間8割出勤しれば間違いなく発生していますので、そのような場合は確認された方がいいかもしれません。

取得する方法も派遣元会社の管轄になりますので営業担当者に聞くのが良いと思います。わたしがいた会社では、有給休暇の事務処理としては本人の勤怠の申請にもとづいて、給料に計算して支給していました。また、契約ベースの1日の労働時間を時給で掛けて、1日分として算出していました。日勤8時間で時給1,000円の場合、1日の有給休暇として8,000円分の支給となります。

ただ、発生した有給休暇には、有効期限が2年と決まっていたり、連続して1カ月勤務がない場合に失効してしまったりと、意識していないといざ使いたい時に無くなっていたということもありえますので、早く申請して消化してしまうか、その派遣会社を退職する前に一気に使い切ってしまうなどと対策を立てておくとよいと思います。ただ、使う時期を間違えてしまうと、社会保険料にひびいてきてしまう可能性もあるので賢く使うことをおすすめします(別の機会に記事にしたいと思います)。



<まとめ>

看護職・介護職として働くのは、夜勤もある大変な勤務かと思います。ただ、”派遣社員”というかたちを上手に利用して働けば、高時給を得ながらライフワークバランスを保つことも可能です。捉え方次第では、”正社員”よりも好条件で働くこともできます。そのためには、派遣という仕組みやカラクリを知っておくと有利です。より自分の納得いくかたちで、仕事を見つけてみてはいかがでしょうか。